- はじめに:「中にいるか/外にいるか」という分け方が定着した世界
- NAKAへの入り方
- NAKAにいる間の体の状態
- フルトラッキングの仕組みと安全対策
- NAKAの空間構造
- NAKAの空間にかかるお金
- NAKAとSOTOの違い
- アバターのカスタマイズ
- NAKAは完全管理世界
- SOTOの本質(NAKAとの対比)
- 人は一方に固定されない(流動性)
- 摩擦や人間関係トラブルは消えない
- 改善思想
- 生存戦略としての分岐
- 管理と自由は「棲み分け」で共存する
- NAKAで管理されていても、人間の感情の摩擦は消えない
- NAKA内の人間関係疲労とAWASE相談
- AWASEの具体例
- AWASEはなぜ残るのか
- AWASE専用エリアの仕組み
- 日常会話での使用例
- 鬼ごっこで理解するNAKA・SOTO・AWASE
- NAKAとSOTOの明確な線引きはない
- NAKAでほぼ暮らす人
- 世代感覚とAIへの信頼
- 道案内などの日常的な情報表示
- まとめ:NAKA/SOTO/AWASEは選択と分岐
はじめに:「中にいるか/外にいるか」という分け方が定着した世界

2222年の地球では、「バーチャル」「XR」「VR」といった言葉は使われなくなりました。
世界標準で**NAKA(中)とSOTO(外)とAWASE(合わせ)**という呼び方に統一されています。
技術が発展した結果、言葉が変化した
技術が発展した結果、「仮想/現実」という分類自体が意味を持たなくなりました。
人々の感覚としては「今、自分は中にいるか/外にいるか」、それだけで十分になったのです。
その結果、技術名ではなく、状態・体感ベースの言葉が残りました。
これは合理化ではなく、生活感覚の変化です。
NAKAとSOTOとAWASEの定義
用語の定義は以下の通りです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| NAKA(中) | バーチャル側の生活空間 |
| SOTO(外) | 現実側の生活空間 |
| AWASE(合わせ) | NAKAとSOTOの人が、それぞれの場所にいながら共同で何かをする状態 |
重要な注意書き
2222年では「VR」「XR」「メタバース」という言葉は、学術史的な用語としては残っていますが、日常会話では使われません。
現代人にとっての「旗振り通信」「町飛脚」に近い扱いです。
日常ではNAKA/SOTO/AWASEが完全に定着しています。
NAKAへの入り方
NAKAに入る方法は複数存在し、個人個人で体にあった方法を選択します。
脳チップ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入り方 | いつでもどこでも座ったり寝たり好きな体勢で入れる |
| 行き来 | 「入りたい」「出たい」と脳内指示で行き来可能 |
| 操作 | 操作も脳での指示で行う |
| 評価 | 操作性にまだ課題は残るという感想が多い |
カプセル
多種多様なNAKA専用のカプセル。寝転ぶだけでカメラや操作用アームなどの装置が自動で体にフィットします。
装着グッズ
ヘルメット、メガネ、コンタクトレンズ、サングラスなどがあります。
NAKAにいる間の体の状態
利用方法別の体の状態
| 操作方法 | SOTOの体の状態 |
|---|---|
| 脳チップ | 寝てたり動かない |
| フルトラッキング | NAKAとSOTOの動きが連動 |
| 指動作や声の指示 | 寝たり座ったままでも可能 |
フルトラッキングの仕組みと安全対策
フルトラッキングの仕組み
2222年のフルトラッキングは場所をとる装備が不要で、シールタイプのものを関節に貼るだけで動作します。
シールの種類:
- 使い捨ての可愛いタイプ
- 防水タイプ
- 利用率が高い人向けに体内埋め込み型
フルトラッキング中の安全対策
フルトラッキング中で完全にNAKAにいると外の様子が分からず、準備不足で暴れすぎて家具等にぶつかるなどの事態はあり得ます。
そのため、フルトラッキングでNAKAに入って自由に体を動かしたい場合は広い障害物のない場所か、フルトラ専用フロアを利用するのが一般的です。
フルトラ専用フロア:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用途 | 体を動かすゲームをフルトラッキングで参加したい場合に使用 |
| 仕組み | 床が動いて、どれだけ人が動き回ろうとも中心に戻される仕組み |
NAKAの空間構造
NAKAには2種類の空間があります。
オールドアースと個人エリア
オールドアース(共有空間)
オールドアースは、海面上昇前の地球を再現された広大なワールドです。
世界中の人が共同で暮らすワールドであり、土地代も必要です。
個人が勝手に世界そのものを改変できません(秩序維持・犯罪抑止のため)。
オールドアース上での物理法則
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 瞬間移動 | 可能 |
| 宙に浮く | 可能 |
| 建物の貫通 | 可能だが、貫通拒否設定してある多くの建物は通り抜けられない |
個人エリア(私有空間)
個人エリアは、自分だけの世界のような扱いで、景観やルールを好きにできます。
空間制限なし(一定の容量を超えると従量課金制に切り替わり)、物理法則無視可能です。
マイクラ的なボクセル世界、ピンク縛りの街、中世ヨーロッパ再現など、テーマごとに自由に作れます。
個人エリアは無数に新しいエリアが作られ続けています。
NAKAの空間にかかるお金
個人エリア作成のコスト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一定サイズまで | 無料 |
| 超過分 | チャージ式で使った分だけ引かれる |
無料枠のエリアの管理
無料枠のエリアは3ヶ月放置で圧縮されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 有料エリア | 支払いが続く限り圧縮されない |
| 未払いの場合 | 3ヶ月後に圧縮されるだけで、削除はされない |
| 復元 | 支払い再開か再訪で復元できる |
オールドアースでの土地代
オールドアース上に建物を作る、部屋を借りるなど、公共の場を占有するならSOTOと同じようにコストがかかります。
人気エリアに出店したい場合、エリア側が定めた出店料が必要です。
NAKAとSOTOの違い
物理法則と空間制約の違い
| 項目 | NAKA | SOTO |
|---|---|---|
| 物理法則 | 無視可能 | あり |
| 空間制約 | 個人エリアは無視可能 | あり |
| 身体の見た目 | オールドアースではSOTOと同一 | カスタム可能 |
| 身体能力 | 飛行や瞬間移動可能 | 肉体の限界 |
アバターのカスタマイズ
オールドアースでは見た目を変えられない

犯罪抑止と本人性担保のため、オールドアースでは見た目を変えられません。
他人から見える姿は、SOTOでスキャンされた本人の姿そのままになります。
他人なりすましの犯罪防止のためです。
個人エリアやゲーム内ではカスタム可能
個人エリアやゲーム内では、特殊なアバターなどのカスタムが可能です。
AWASEでの見た目も固定される
AWASE中にSOTO側の人へ表示されるNAKA側参加者の姿と声も、SOTOでスキャンした本人の姿・声に固定されます。
つまり、NAKA中心で生活していても、AWASEやオールドアースでの見た目(社会的な顔)を変えたいなら、根本的にはSOTO側で自分自身を変える必要があります。
NAKAは完全管理世界
全ての行動がデータとして記録される
NAKAは全ての行動がデータとして記録されるため、全ての言動が人工知能に把握されています。
いわば完全な管理世界です。
完全管理と引き換えに得られるもの
NAKAは管理と引き換えに、強く守られた空間を提供します。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 接近不可設定 | 合わない人との接近を拒否できる |
| ブロック | 気づかれない形でブロックできる |
| エリアの自由設計 | 法の範囲内で自由に設計可能 |
例えば:
- 女性専用エリア
- U18エリア
- 特定属性だけの空間
など、様々なエリアを作ることができます。
犯罪防止の仕組み
NAKAでは人間の暴力行為や犯罪行為は即座に人工知能に感知されます。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 危険な言動の感知 | 危険な言動を感知すると注意される |
| 接近禁止空間 | 法的に裁かれた場合、NAKAの空間でも接近禁止空間が設定される |
ストーカー対策
NAKAではストーカー行為そのものが成立しにくい構造になっています。
管理されているためストーカー行為もできません。
合わない人との接近を拒否する設定も存在します。
SOTOの本質(NAKAとの対比)
SOTOは自由度が高い
SOTOは自由度が高いです。
同時に、誰かが常に守ってくれるわけではありません。
ストーカー・犯罪はSOTOでは起こりえるので自己防衛も必要になります。
NAKAとSOTOは「安全/危険」ではなく「設計思想が違う」
NAKAとSOTOは完全管理と自由のトレードオフです。
| 空間 | 特徴 |
|---|---|
| NAKA | 管理と引き換えに強い保護 |
| SOTO | 自由と引き換えに自己責任 |
NAKAとSOTOは対立概念ではありません。
どちらが「正しい」「進んでいる」「遅れている」ではなく、役割と選択が違うだけです。
人は一方に固定されない(流動性)
人は気分・状況・人生段階で選択を変えます。
例:
- NAKAでの人間関係に疲れ、知り合いがほぼいないSOTOの島へ短期滞在
- SOTOの摩擦に疲れ、NAKAで距離を保った関係性に戻る
NAKAに疲れた人がSOTOに行くことがあり、SOTOの人間関係に疲れ、NAKAに行くこともあります。
摩擦や人間関係トラブルは消えない

衣食住と安全が満たされても、承認欲求・関係欲求・比較・嫉妬・独占欲は消えません。
2222年でも、人同士の摩擦は必ず起き、摩擦をゼロにする設計は不可能です。
摩擦を避けすぎること自体が息苦しさになる場合もあるため、失敗も摩擦も起こる世界として設計されています。
改善思想
この世界の意思決定の根幹は、「正解がある前提」で設計されていません。
人間も人工知能も失敗を起こし続ける前提です。
問題は日々発生します。
NAKA/SOTO運用の参照とされている思想
パナソニックの「衆知を集める」
一人の正解ではなく、複数の視点を集め続けます。
トヨタの「カイゼン」
完成を前提とせず、現場での微調整を続けます。
ホンダの「三現主義」
現場・現物・現実を重視します。
など組員数が多く長期にわたって安定して続いてきた組の哲学や思想は、
2222年のNAKA/SOTO社会における制度設計や、人工知能の運用方針を検討する際の参考として取り入れられています。
生存戦略としての分岐
極端にNAKA寄りの人もいれば、肉体を重視しSOTOに残る人もいます。
どちらが正しいとは言えません。
災害・極限状況の可能性
大規模災害・致死性ウイルス・隕石など、極限状況では:
- NAKA中心の生活に慣れた人が生き残る可能性
- SOTO中心で泥臭く生きる人が支える可能性
多様な選択肢があること自体が、人類存続の冗長性です。
管理と自由は「棲み分け」で共存する
NAKA:管理と引き換えに強い保護
SOTO:自由と引き換えに自己責任
優劣ではなく役割分担です。
NAKAで管理されていても、人間の感情の摩擦は消えない
ブロックできる、エリアを作れる、接近不可にできる。
それでも:
- 「隣近所の目が気になる」
- 「距離を置いたのが伝わってしまいそう」
- 「いきなり切ったと思われたくない」
と感じる人は一定数存在します。
管理されていても、人間の感情の摩擦は消えません。
NAKA内の人間関係疲労とAWASE相談
起きている現象として:
- NAKAの人間関係に疲れ、SOTO側の人にAWASEで人生相談
- 逆に、SOTOの人間関係に疲れ、NAKAでほぼ知り合いゼロの空間に入る
場所を変えることで関係性の圧力を逃がす行動が見られます。
AWASEの具体例

AWASEとは
AWASEとは、NAKAの人とSOTOの人がそれぞれの場所にいながら話したり共同で何かすること全般を指します。
2020年代でいうリモートも、AWASEの定義に含まれます。
AWASEの例
- NAKAとSOTOの人で顔を見せながら話す
- 一緒にオンラインコンテンツを作る
- 現実のテーブルの上にホログラムのゲーム盤を出す(MR的なもの全般)
- 2025年でいうリモート会議もAWASE技術の一つ
AWASEはなぜ残るのか
AWASEの役割は、NAKAとSOTOがそれぞれの場所にいながら共同で何かをする状態です。
日常会話で必ず使われるとは限りません。
しかし:
- AWASE会議
- AWASEライブ
- AWASEイベント
など、一言で状態を説明できる便利な概念です。
物理感覚まで再現するAWASEは専用エリア・イベント利用
物理感覚まで再現するAWASEは、常時ではなく、専用エリア・イベント利用です。
日常のAWASEは、映像・音声・共同作業が中心です。
AWASE専用エリアの仕組み
AWASE専用エリアを使う場合
SOTOの人がAWASE用のエリアを使っていれば、ロボを介さずにエリア内で立体的にNAKAの人が見えます。
| 視点 | 見え方 |
|---|---|
| SOTO側 | 空中にNAKAの人が立体投影で見える |
| NAKA側 | SOTOの人の様子が投影される |
リアルタイム連動でNAKAにいる人とSOTOにいる人が顔を合わせて会話も可能です。
特殊なAWASE用エリア
NAKAの様子と連動して動く床と壁が採用されている特殊なAWASE用エリアでは、SOTO側の人はNAKAの人を物理的に触れる感覚も再現可能です。
ロボを使う場合
| 視点 | 状況 |
|---|---|
| NAKAの人 | ロボを操作して現実で動く |
| SOTO側 | 遠隔操作されたロボと遊んでいる |
| NAKAの人から見た状況 | SOTOの様子をロボ越しに見ている感覚 |
日常会話での使用例

ゲーム
「昨日NAKAで友達とシューティングゲームやったんだけどさー、あれめっちゃ楽しいね」
会議
「SOTOで会議があるからちょっと行ってくるね」
※NAKAから出てSOTOに行くこと
「今日は合わせ(AWASE)で会議あるからちょっと待っててね」
※NAKAの人とSOTOの人が一緒に何かする時
電話
「SOTOで料理しながらNAKAの人と電話」
鬼ごっこで理解するNAKA・SOTO・AWASE
SOTOで鬼ごっこしよ〜
現実でどこか公園などで鬼ごっこをします。
NAKAで鬼ごっこしよ〜
全員バーチャルにログインした状態の中の世界で鬼ごっこをします。
AWASEで鬼ごっこしよ〜
SOTOの人がAWASE用のエリアを使っていれば、ロボを介さずにエリア内で立体的にNAKAの人が見えます。
AWASE専用エリアを利用すれば、SOTO側では空中にNAKAの人が立体投影で見え、NAKA側にはSOTOの人の様子が投影されます。リアルタイム連動でNAKAにいる人とSOTOにいる人が顔を合わせて会話も可能になります。
NAKAの様子と連動して動く床と壁が採用されている特殊なAWASE用エリアであれば、SOTO側の人はNAKAの人を物理的に触れる感覚も再現可能です。
ロボを使う場合は、NAKAの人はロボを操作して現実で動き、SOTO側からの様子は遠隔操作されたロボと遊んでいる状態になります。NAKAの人から見たらSOTOの様子をロボ越しに見ている感覚です。
NAKAとSOTOの明確な線引きはない
この時代、NAKAとSOTOの明確な線引きはなくなっています。
どこからがNAKAでどこからがSOTOなのか、人によっても考えが異なります。
例:線引きの曖昧さ
「NAKAの人が立体投影でSOTOの人と合流ならAWASE?」
「ロボやファムを操作するなら、それはもうAWASEとは言えないんじゃない?普通にファム操作しているだけ?」
ファムだけでなく、あらゆるオンライン経由でNAKAの人がSOTOに投影や会話参加もできるため、明確な線引きがなくても誰も困っていません。
※ファムについては「2222年の家庭用ロボ ファム」の記事を参照してください。
NAKAでほぼ暮らす人
日常のほとんどをNAKAで過ごす人も増えています。
最も効率化している人の例
全人口の1%未満、かなりトリッキーで、2222年でも異端扱いです。

- 1週間以上連続でNAKAにいる
- 水分補給:お尻からチューブで自動化
- 栄養:胃の中にタコロボを入れて栄養ドリンクを自動で排出
- 排泄:ロボに処理させる
一般的な使い方
お腹が空いたりトイレに行きたい以外はNAKA。時間は自由です。
筋力と生活
NAKAで長時間過ごすと筋力が低下しがちです。
ただし、体が弱っても働かなくてもベーシックインカムで暮らせるため、特に生活に困ることはありません。
体に不調が起きたら複製臓器で交換すればいいという考え方で、全く運動しない層もいます。
世代感覚とAIへの信頼
2026年時点ですでに、AIの向こうに企業があることを意識せず、自分の情報を曝け出す人が多数存在しています。
200年後、人工知能は「管理者」より「味方」と感じられている層が多いです。
ただし重要な分岐として、管理が嫌な人はNAKAに入らず、SOTO中心で暮らします。
どちらも選択肢として尊重されています。
道案内などの日常的な情報表示
現実に情報を重ねる道案内
現実に情報を重ねる道案内は、もうSOTOでの日常の風景となっており、わざわざ決まった呼び方はありません。
道案内の例:
映像投影可能な指輪やアクセサリをつけていた場合
- そこからの人の目の前の足元の位置を特定
- 道案内記号を投影
音声での説明で理解できる人の場合
- その人の視界の範囲を予測
- 音声で指示
ファムが直接案内する方法も
あらゆるものがパーソナライズされます。
この行為に決まった名前はなく、ただの「道案内」として認識されています。
まとめ:NAKA/SOTO/AWASEは選択と分岐
NAKA/SOTO/AWASEは正解ではない、完成形でもありません。
失敗・摩擦・改善が前提です。
人間と人工知能が衆知を集め、現場を見て、少しずつ直し続けている世界です。
2222年でも、人は悩み、選び続けています。


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