はじめに:AIと人間が共に学ぶ治安維持

2222年の治安維持は、AI(KEIGO)とオペレーター(人間)が役割分担する仕組みです。
KEIGOは「分からないことを、分かったふりをしない」という基本思想を持ち、判断に迷ったらオペレーターに相談します。
オペレーターはKEIGOにとって「人間の感情と社会行動に詳しい先輩」です。
この記事では、AIと人間が失敗から学び続ける治安維持構造を解説します。
KEIGO(ケイゴ):世界に1つの中枢AI
KEIGOとは
KEIGOは地球中央連邦が管理するLv4 HB-AIです。
世界に存在するKEIGOは単一の中枢AIであり、全KEIGO搭載ロボはこのKEIGOと常時接続しています。
判断基準・法解釈・優先順位は世界共通で共有される仕組みです。
※詳しくは「2222年の人工知能」の記事を参照してください。
KEIGOの基本思想
KEIGOは以下の基本思想を持っています。
分からないことを、分かったふりをしない
判断に迷ったら、オペレーターに即相談する
オペレーターは、KEIGOにとって「人間の感情と社会行動に詳しい先輩」
失敗は責任追及の対象ではなく、人間・AI・制度すべてのアップデート材料
KEIGOの判断の特徴
KEIGOは過去事例・判例・ログを参照し、同条件なら同じ判断を下す仕組みです。
それでも判断が困難、または前例不足な場合は、即座にオペレーターへ相談通知を送ります。
通報対応の全体割合
21世紀でも通報の多くは「事件未満」
21世紀でも国や地域による差はあるものの、警察に寄せられる通報の多くは、実際には違法行為が確認されず、注意や当事者を一時的に引き離すだけで落ち着く内容です。
その割合は、おおよそ50〜70%(中心値として約60%)とされています。
2222年の通報対応割合
2222年でも傾向は変わりません。
KEIGOロボが現場に入り、状況を整理し、人を物理的に分けるだけで解決する通報は、全体の約65%を占めています。
| 割合 | 内容 |
|---|---|
| 約65% | KEIGOロボの初動介入のみで沈静化(オペレーター不要) |
| 約25% | 判断が割れる/感情的要因が強い(オペレーターに相談) |
| 約10% | 法的対応・手続き・長期拘束が必要(オペレーター主導) |
KEIGO搭載ロボの運用モード
KEIGO搭載ロボには2つの運用モードがあります。
自律対応モード(通常)
KEIGOが自動で移動・警告・拘束判断まで実行します。
多くの事案はこのモードで完結し、オペレーターは常時操作していません。
オペレーター介入モード(必要時のみ)
KEIGOが「判断困難」と判断した場合、世界中の有資格オペレーターに通知が送られる流れです。
選ばれたオペレーターが一時的に介入します。常時操作ではありません。
KEIGOの判断フロー
KEIGOが通報時に同時評価する項目
KEIGOは、通報を受けた時点で以下を同時並行で評価します。
- 選択肢の数(A / B / C …)
- 過去の類似事例データの件数
- 各選択肢が選ばれてきた割合
- オペレーターの過去判断傾向
KEIGOが「自己判断してよい」条件
以下3条件すべてを満たす場合のみ、KEIGOはオペレーターに相談せず自己判断で対応してよいです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 過去の類似事例 | 100件以上存在 |
| 選択肢の偏り | 8割を超える選択肢が存在(人間もほぼ同じ判断をしてきたとみなせる) |
| 安全性 | 生命に関わらない状況 |
例:
- A選択 82% / B選択 18% → KEIGOはAを選択してよい
- A選択 55% / B選択 45% → 即オペレーター相談
拘束に関するルール
拘束そのものはKEIGOが独断で実行してよい
拘束そのものは、市民の安全確保を目的としてKEIGOが独断で実行できます。
拘束後の対応は必ずオペレーターが判断
ただし、拘束後の対応は必ずオペレーターが判断します。
オペレーターが決めること:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 拘束の継続 or 解除 | 拘束を続けるか、解放するか |
| 一時隔離施設への移送 | 移送するか、その場で解放するか |
| 解放のタイミング | いつ解放するか |
| 法的手続きへの移行可否 | SAIBANに引き継ぐか |
| 家族・関係機関への引き渡し | 誰に引き渡すか |
※SAIBANについては「2222年の人工知能」の記事を参照してください。
誤判断への考え方
KEIGOの誤判断も、オペレーターの誤判断も起こりえる
KEIGOの誤判断も、オペレーターの誤判断も起こりえます。
2222年では、責任追及や犯人探しは行いません。
対応方針
対応方針は以下の通りです。
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 関係ログを全員で検証 | 誰が悪いかではなく、何が起きたかを検証 |
| 原因分析と次回対策を制度に反映 | 同じ失敗を繰り返さないための仕組み作り |
| 失敗は「アップデート対象」として扱う | 失敗を責めるのではなく、学びの材料にする |
オペレーターの制度
地球中央連邦公認資格が必要
KEIGO搭載ロボを操作するには、地球中央連邦公認資格が必要です。
KEIGOオペレーター免許は実技試験のみで取得可能
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 暗記 | 不要(法知識はAIに即時照会可能) |
| 実技試験 | 重視(判断力・決断力) |
オペレーターの人数
オペレーターの人数は以下の通りです。
| 区分 | 人数 |
|---|---|
| オペレーター免許保有者 | 世界で約4,000万人 |
| 月1回以上参加するアクティブ | 約600万人 |
| リアルタイムで受信ONの常時稼働者 | 平均25万人 |
参加は任意です。
ランク制度
解決件数・難易度・評価でポイントが加算され、以下のランクに分かれています。
- ビギナー
- ブロンズ
- シルバー
- ゴールド
- プラチナ
- ダイアモンド
- マスター
- グランドマスター
プラチナランク以上になるには
ゴールドランクまでは、
解決件数・事案の難易度・当事者や周囲からの評価といった、
いわば「数値化しやすい成果ポイント」の積み上げだけでも到達可能です。
しかし、プラチナランク以上になるためには、それだけでは不十分とされています。
プラチナランク以上では、次のような能力が総合的に求められます。
- 法的知識を踏まえた判断力
単純なルール適用ではなく、
「この場面でどこまで介入すべきか」「法的措置に進めるべきか否か」など、
境界線上の判断を安定して行えること。 - 対話能力・調整能力
当事者同士の感情が強く対立している場面でも、
相手を過度に刺激せず、状況を沈静化させるコミュニケーション能力。 - カウンセリング的視点
表面上のトラブルだけでなく、
背景にある不安・怒り・孤立感などを読み取り、
その場を安全に終結させる力。 - AIとの協働精度
KEIGOが提示する複数の判断候補を理解した上で、
なぜその選択を取るのかを言語化し、
その判断をKEIGOの学習データとして還元できること。
これらは単純なポイント加算では評価しきれないため、
プラチナランク以上では、実地評価・長期ログ分析・他オペレーターからのレビューなど、
複数の観点を組み合わせた審査が行われます。
そのため、高ランクになるほど
「たくさん対応した人」ではなく、
「難しい場面で安定した判断ができる人」が選ばれる仕組みになっています。
志願者が集まる理由
2222年では、衣食住は最低限保証されているため、金銭動機は弱めです。
代わりに、以下が強い動機となります。
- ロボがかっこいい(変形・高機動)
- ゲーム感覚
- スコア・ランク・競争
- 難事件攻略の達成感
- 社会参加欲求
オペレーターの動機(十人十色)
動機は無数に存在します。
オペレーターがこの役割を続けている理由は、人によってまったく異なります。
使命感、生活の一部、趣味、報酬、承認欲求、暇つぶし、研究目的など、その動機は十人十色です。
オペレーターの成果報酬型の仕組み
KEIGOロボの運用は、完全なボランティアではありません。
2222年の治安維持体制において、人間オペレーターには成果に応じた報酬が発生する仕組みが採用されています。
成果報酬の考え方
オペレーターへの報酬は、単純な「対応回数」ではなく、以下のような要素を総合的に評価して算出されます。
- 通報対応の難易度
- 人的被害・二次被害を防げたか
- 事態を早期に沈静化できたか
- KEIGOとの連携の質(判断の明確さ、引き継ぎの適切さ)
これにより、
無理に介入件数を増やすほど得をする構造にはなっていません。
あくまで「適切な判断を、適切なタイミングで行ったか」が評価の中心です。
パトロールロボ(島内の組が管理)
KEIGOほど厳格ではなく、気軽な治安参加枠
パトロールロボは、島内の組が管理する警備ロボです。
KEIGOほど厳格ではなく、気軽な治安参加枠として機能しています。
運用には特別な認定が必要ですが、KEIGOオペレーターよりも取得しやすい設計です。
自分のタイミングでログイン、クエスト選択式
パトロールロボは、依頼を待つ形式ではありません。
オペレーターは、自分のタイミングで空いているロボにログインし、島内で出された「クエスト」から選択する仕組みです。
クエストの例:
- 毎日騒ぐ泥酔客に注意してほしい
- 観光地の見回り
- 迷子対応
逮捕権限は持たない
パトロールロボは、警備や巡回はできますが、法的な逮捕権限は持ちません。
拘束はKEIGO搭載ロボのみが行える仕組みです。
パトロールロボは、島の空気を守る役割を担います。
パトロールロボオペレーターの動機
パトロールロボオペレーターは、さらに動機の幅が広めです。
気分転換、島の手伝い、暇な時間の社会参加、軽いロールプレイ感覚など、KEIGOオペレーターよりも「軽く・自由で・気楽」な立ち位置として機能しています。
KEIGOとパトロールの役割分担
パトロールロボが初動対応を行います。
事態がエスカレート、または法的判断が必要になった場合、KEIGO搭載ロボへ引き継がれる流れです。
対立ではなく役割分担です。
島ごとの治安スタイル
江戸温泉島:島独自のパトロールロボあり

江戸温泉島には、島独自のパトロールロボが存在します。
製造元の組の違いで見た目の違いはありますが、島独自のルールで武士や侍モチーフに統一されています。
江戸温泉島では、パトロールロボは人型が許可されているため、武士侍ロボは人型など様々です。
見た目をかっこよくしたり魅力的にすることで、オペレーターのなり手を確保する戦略です。
スーパーシティ島:KEIGO搭載ロボだけでまかなえている
スーパーシティ島には、島特有のパトロールロボはありません。
SOTOでの人の関わりが少なく、そのメリットとして人同士の衝突が少ないため、KEIGO搭載ロボだけでまかなえている状態です。
NAKAとの関係
KEIGOオペレーターの多くは、NAKA滞在時間が長い人々です。
NAKA側の人材が、SOTO(現実世界)の治安維持を支えています。
世界観として、「仮想が現実を守る」構図が成立しています。
※NAKAについては「2222年のNAKAとSOTO」の記事を参照してください。
まとめ:治安維持が成立している理由
KEIGOは「判断を委ねられた存在」ではなく、判断を共有する存在
KEIGOは、全ての判断を自分で下すのではなく、オペレーターと共に判断を共有します。
オペレーターは「上位者」ではなく、人間理解に長けた先輩
オペレーターは、KEIGOの上位に立つ存在ではありません。
KEIGOにとって、人間の感情と社会行動に詳しい先輩として機能します。
治安維持はAIだけでも、人間だけでも成立しない構造
治安維持は、AIだけでも、人間だけでも成立しません。
AI(KEIGO)と人間(オペレーター)が協働することで、初めて成立する構造です。
失敗を前提に、制度そのものが学び続けている
失敗は責任追及の対象ではなく、人間・AI・制度すべてのアップデート材料として扱われます。
制度そのものが学び続けています。
動機を統一しない設計
治安維持が成立している理由は、「人の動機を統一しない設計」にあります。
やる気・正義感・承認欲求・遊び心が混在しても破綻しないのは、以下の理由です。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 判断基盤がKEIGOに集約 | オペレーターの判断がバラバラでも、KEIGOが最終的に整合性を保つ |
| オペレーターは”補助・選択・実行”に集中 | オペレーターは全てを背負わず、重要判断の一部だけを担う |
| 誤判断は個人ではなく制度全体で検証 | 個人を責めるのではなく、制度全体で学ぶ |
参加の重さが違う複数レイヤーがあることで、世界規模の治安維持が成立しています。


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